WEBPRO入力代行|非住宅の省エネ計算を外注するときの分担と注意点
外皮まわりの入力を切り出して、設計に集中する。
2025年4月から、非住宅建築物も原則すべてで省エネ基準への適合が義務化されました。事務所・店舗・公共施設などの省エネ計算では、住宅とは別の「エネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)」、通称 WEBPRO を使います。この記事では、標準入力法での計算を外注する際に、どこまでを外注し、どこを自社で持つかという分担の考え方を整理します。
非住宅の省エネ計算は、住宅とは別物です
まず前提として、非住宅の一次エネルギー消費量の計算は、住宅版とは別のプログラム・別の考え方で行います。基準への適合確認の方法は、大きく次の2つです。
| 方法 | 入力の粒度 | 様式の数 |
|---|---|---|
| 標準入力法 | 設計した建物そのものを詳細に評価。建築物内にあるすべての室単位で床面積や設置設備機器等の入力が必要 | 24 |
| モデル建物法 (通常版) | 同一用途のモデル建築物で評価。室単位ではなく、建築物全体としての主たる建材や設備機器等の性能値を入力 | 14 |
| モデル建物法 (小規模版) | さらに簡略化された様式構成(外皮の様式や昇降機・コージェネレーションの様式がない) | 9 |
※ 様式の数は公式入力シート(Ver.3.10)に収録されている様式数です(任意評定用の非表示シートを含む)。モデル建物法(通常版)は 様式A 基本情報/B1 開口部仕様/B2 断熱仕様/B3 外皮/C1〜C4 空調/D 換気/E 照明/F 給湯/G 昇降機/H 太陽光発電/I コージェネレーション設備で構成されます。
※ どちらを採用するかで作業量も提出書類も大きく変わります。途中での変更は手戻りが大きいため、着手前の確定をおすすめします。本記事は標準入力法を前提に解説します。
非住宅建築物に係る省エネ適合性判定および届出においては、外皮性能基準(PAL*)は適用されないため、外皮性能基準への適合確認を行う必要はありません。ただし、一次エネルギー消費量の計算を行ううえで、外皮に係る仕様等の入力は必須です。「PAL*が不要なら外皮の入力もいらない」という誤解は、実務でつまずきやすいポイントです。
標準入力法の入力シートの全体像
標準入力法では、設備ごとに多数の入力シート(様式)を作成します。公式の入力シート(Excel)に収録されている様式は、次のとおりです。
| 区分 | 様式 |
|---|---|
| 共通 | 様式0. 基本情報/様式1.(共通)室仕様 |
| 空調(外皮) | 様式2-1.(空調)空調ゾーン/様式2-2.(空調)外壁構成/様式2-3.(空調)窓仕様/様式2-4.(空調)外皮仕様 |
| 空調(設備) | 様式2-5.(空調)熱源/様式2-6.(空調)二次ポンプ/様式2-7.(空調)空調機/様式2-9.(空調)全熱交換器 ※ 様式2-8 熱源水温度、2-10 変流量二次ポンプシステム、2-11 パッケージエアコンディショナ(空冷式)部分負荷特性は、任意評定用として通常は非表示です。 |
| 機械換気 | 様式3-1.(換気)換気対象室/様式3-2.(換気)給排気送風機/様式3-3.(換気)換気代替空調機 ※ 様式3-4 換気代替空調機年間平均負荷率は任意評定用(非表示)。 |
| 照明 | 様式4.(照明)照明 |
| 給湯 | 様式5-1.(給湯)給湯対象室/様式5-2.(給湯)給湯機器 |
| 昇降機 | 様式6.(昇降機)昇降機 |
| 効率化設備 | 様式7-1.(効率化)太陽光発電システム/様式7-3.(効率化)コージェネレーション設備 |
| 外皮 | 様式8.(外皮)非空調外皮仕様 |
青色の行が、当方でお引き受けする外皮まわりの様式です。
このように様式は多岐にわたりますが、単に枚数が多いだけではありません。外皮まわりのシートは互いに参照し合う関係にあり、ここが手戻りの起きやすい部分です。
外皮まわりのシートの関係
このように、外壁構成(2-2)と窓仕様(2-3)で定義した名称を、外皮仕様(2-4)や非空調外皮(様式8)で参照するという連鎖構造になっています。どこか一つの定義を変えると、後続のシートにも影響が及びます。ここが、慣れていないと手戻りが起きやすい理由です。
弊社が代行する範囲|外皮まわりの5シート
当方でお引き受けするのは、意匠図から面積を拾い、外皮の情報を組み立てる次の5シートです。
| 様式 | シート名 | 主な作業内容 |
|---|---|---|
| 2-1 | 空調ゾーン | 空調対象室のゾーニングを整理し入力 |
| 2-2 | 外壁構成 | 屋根・外壁・床などの断熱構成を定義 |
| 2-3 | 窓仕様 | 建具表をもとに窓の仕様を定義 |
| 2-4 | 外皮仕様 | 方位別に外皮面積を拾い、庇等の条件とあわせて積み上げ |
| 8 | 非空調外皮仕様 | PAL*の計算対象となる非空調ゾーンの外皮を入力 |
いずれも、配置図・平面図・断面図・立面図・矩計図といった意匠図を読み解いて面積を拾う作業が中心です。規模が大きくなるほど手間は膨らみますが、設計判断そのものではないため、切り出して外注しやすい工程でもあります。
お客様にご対応いただく範囲
次の項目は、設計内容の決定と不可分なため、お客様(設計者)側でのご対応をお願いしています。
- 様式0『基本情報』:建物名称・所在地・用途など
- 様式1『室仕様』:階・室名・室用途・床面積など。全設備の計算で共通に使われる基礎情報で、室用途の判断は設計者の領域です
- 空調設備の機器仕様(様式2-5 熱源/2-6 二次ポンプ/2-7 空調機/2-9 全熱交換器)
- 機械換気設備(様式3-1 換気対象室/3-2 給排気送風機/3-3 換気代替空調機)
- 照明設備(様式4)・給湯設備(様式5-1 給湯対象室/5-2 給湯機器)・昇降機(様式6)
- 太陽光発電システム(様式7-1)・コージェネレーション設備(様式7-3)
ご依頼前に揃えていただく資料
- 意匠図一式:配置図・平面図・断面図・立面図・矩計図(PDF推奨)
- 建具表:窓・ドアの寸法、品番、ガラス仕様、庇やブラインドの有無
- 断熱仕様:部位ごとの断熱材の種類・厚さ、下地構成
- 様式1『室仕様』:入力済のもの(階・室名・室用途・床面積)
- 建設地(地域区分の判定に使用します)
特に様式1と建具表が揃っているかどうかで、着手のスピードが変わります。図面が確定していない段階でのご相談も可能ですが、その場合は仕様確定後に再入力が必要になる点をご承知ください。
実務でつまずきやすい点
- 標準入力法とモデル建物法の選択:作業量も提出書類も異なるため、着手前に確定を
- PAL*は判定に不要でも外皮入力は必須:一次エネルギー計算に外皮の仕様が必要です
- 地盤と接する外壁・土間床:PAL*の算出では計算対象外のため、様式8への入力は不要です
- 室名と室用途の対応:図面上の室名をどの室用途に当てはめるかで結果が変わります(マニュアルに対応例が示されています)
- シート間の名称の不一致:外壁構成・窓仕様で定義した名称を後続シートで参照するため、名称の統一が必須です
- 増改築・複数建築物の連携:通常とは別の考え方が必要になるため、事前にお知らせください
料金・納期
| 延床面積 | 料金 | 納期の目安 |
|---|---|---|
| 〜1,000㎡ | ¥30,000 | 7〜14営業日 |
| 1,000〜2,000㎡ | ¥40,000 | 7〜14営業日 |
| 2,000㎡〜 | ¥50,000 | 7〜14営業日 |
※ 外皮まわり5シートの入力代行の料金です。建物の複雑さによって変動する場合があります。公共施設(RC造・S造改修を含む)の実績があります。お急ぎの場合はご相談ください。
WEBPROの外皮入力、切り出せます。
意匠図から面積を拾い、外皮まわりのシートを組み立てるところまでお任せください。
設備の入力は設計者様に残す分業型なので、設計判断はそのまま自社に。質疑のみのご相談も歓迎です。
【出典】本記事の入力シート構成・評価方法に関する記述は、国土交通省 国土技術政策総合研究所/国立研究開発法人 建築研究所「エネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)標準入力法 入力マニュアル Ver.3.10.1(2026年6月)」および公式入力シート(標準入力法・モデル建物法・モデル建物法小規模版/Ver.3.10)の様式構成に基づいています。プログラムおよびマニュアルは改訂される場合がありますので、実際の申請時は公式サイトで最新版をご確認ください。